永遠に出口のみえない暗闇を彷徨う映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』あらすじ感想
どうも、こんにちは。
今回は映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』(原題:Only Lovers Left Alive)のネタバレなしのあらすじと映画をみた感想について書いていきたいと思います。
『ナイト・オンザ・プラネット』(1991)、『コーヒー&シガレッツ』(2003)、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)などで知られる鬼才ジム・ジャームッシュ監督の作品です。
主役2人をはじめ、出演人物たちの溢れ出すセクシーさと人間離れした美しさに魅了されっぱなしの123分でした!!
ジム・ジャームッシュ監督が織りなす「気だるさ」と「アンニュイ」な独特の世界観が本作でも味わえます。苦手な人は苦手かも…でもわかる人にはきっとわかるといった感じの映画。
映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』の見どころ・ポイント
映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』あらすじ
シネマトゥデイ:映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』予告編
ここからは、ネタバレなしのあらすじのご紹介です。
何世紀も人類に紛れて生き永らえてきたアダム。
ですが彼は現代の人間たちを中身の薄っぺらな「ゾンビ」と軽蔑します。
そんなアダムの唯一の生き甲斐は永遠の愛を誓ったパートナー・イヴの存在。
アダムは、アングラ界のミュージシャンとして活動する傍ら趣味の弦楽器集めにも没頭していきます。そうやって密やかに楽しみをもちながら生活を送る2人。
ですがある時、アダムとイヴのもとにイヴの妹・エヴァがやってくることで彼らの平穏な日常は瞬く間にぶち壊されていくのです…。
映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』監督・キャスト
不老不死ヴァンパイアの見えざる苦悩を暴いた傑作!!
この映画では、ほかのヴァンパイア映画にありがちな吸血シーンや目が回りそうになるような戦闘シーンなどは一切出てきません。そもそも、勢いよく動くことが基本的にはありません。
映画『トワイライト』シリーズとかでよくみる瞬間移動的やら派閥争いとかはほぼでてきませんでした。(ちょっと期待していたので残念…)
つまり、彼らの生態はヴァンパイアであると言われなければ、血を飲むのが好きな人間なのかな?くらいヴァンパイアらしくないのです。
では代わりに何が特徴的に描かれているのかというと、
ほかの映画ではあまり描かれることがなかったヴァンパイアの憂鬱な私生活の部分にスポットライトをあてているんです。
こう聞くとちょっと興味深いですよね。
この映画をみるまでは、なんとなくヴァンパイア=「かっこいい」、「キレイ」というイメージをもっていました。
たしかに、日差しに弱いとか、出かけるときに手袋をしなきゃいけないとかマイナスな部分もありますが。そいういうのもひっくるめて「永遠に生きられるし羨ましいな…」って安易に考えてました。
ところが、そういったわたしの勝手な思い込みはこの映画をみて180度変わりました!!
冒頭から脱力全開のヴァンパイアたちが画面にアップで映し出され、「あれ?これがヴァンパイアなの??」と呆気にとられます。
ちなみに、
監督によれば、アダムが500~600歳で恋人のイヴが2000歳くらいの設定なんだとか。
もしそうだとすれば、世紀以上も生き続けてきた彼らにとって公に人を襲うことができない21世紀という時代は非常に生きにくく感じました。
それゆえ彼らは身を潜めてひっそりと暮らし、唯一繋がりのある人間の協力者意外とは関りをもたないようにしています。
彼らの最大のエネルギー源は、たまに闇ルートで手に入れる輸血用の血液。というかほぼそれで飢えをしのいでる感じです。血液がなくなればたちまち命の危機にさらされてしまいます。
(時間が無限にあるとはいえ、4世紀以上閉じこもりはつらい…)
「人生に終わりがなければいいのに」
「この時間が永遠に続けばいいのに」
ということは誰しも一度は考えたことあると思います。
ただこの映画をみた後にはきっと「やっぱり時間が有限でよかった…!」と思うこと間違いないでしょう。
多趣味なジム・ジャームッシュの妄想世界がそのまま映画に?!
ジム・ジャームッシュ監督といえば、いつも独特な緩~い雰囲気の作品を創る監督さんとして知られていますよね。
作風としてはスローテンポでゆったりとしたものが多めのように感じます。
そして、いずれも聴覚的・視覚的に映画を芸術作品のようなかたちでみせるのが特徴的かもしれません。
そんな中でもこの作品には監督の並々ならぬ想いが込められています。
監督は、あるインタビューに対し「この映画を完成させるのに7~8年の歳月を要した」と答えたそうです。
また、ヴァンパイアのもつワイルドなイメージを引き出すために、ヴァンパイア役の2人の髪の毛に本物の動物の毛を編み込んでいるんだそう。
(映画ではとても神秘的にうつりました)
ふだんは暗く、目立たない場所で活動することが多いアダムたち。
それとは対照的に彼らは作中でずば抜けた才能の持ち主という描かれ方をされています。小説家だったり、ミュージシャン(アングラ)だったりとコアなファンがいる有名人でもあるのです。
(そりゃ何世紀も生きてたら何か一つくらいは得意なもの見つかるよね。。。)
一部に熱狂的なファンを抱えるアダム。
そんな彼の愛する音楽はどれもハイセンスなものばかり。
例えば、オープニングで使われたワンダ・ジャクソンの『Funnel of Love』やデニス・ラサールの『Trapped By A Thing Called Love』など音楽好きの心をグッと掴むような名曲が次々と流れてきます。
音楽通なら、ピンとくるものも多いのではないでしょうか?
そして、なんと、、、
映画で使われたサントラがリリースされているとのこと!!
こちらのサントラを担当したのは、ジム・ジャームッシュ監督お墨付きのオランダ音楽家ジョゼフ・ヴァン・ヴィセム氏。
サントラにもミュージシャンとしての顔を持つジャームッシュ監督ならではのこだわりがぎっしり詰まった内容に仕上がっています。
おわりに
今回もご覧いただき、ありがとうございます。
というわけで、今回は映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』のあらすじとネタバレなしの感想を書かせていただきました。
最後にわたしの思い出のヴァンパイア映画をご紹介して終わりたいと思います。
私の思い出の作品とは、
映画『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(2002)です。
こちら100年の眠りから目覚めた美形男子のヴァンパイアが主人公のお話でした。
今回ご紹介した映画とはまったく違うジャンルのヴァンパイア作品です。一般的にヴァンパイアものと言われたら、こちらの作品のほうが想像に近いと思います。
なにが思い出なのかといいますと、この映画みたときまだ小学校低学年だったんですよ。。しかもレンタルビデオ屋で。そしてこの映画がおそらくわたしにとって初めてのヴァンパイア映画でした。
小学生でこんなヤバそうな見た目のDVD借りるって店員さんもさぞ驚いたことでしょうね…(^-^;
小学生にとっては刺激的な内容でしたので今でもヴァンパイアものといったらこの映画がすぐに思い浮かびます。
実はこの作品、ブラピ主演で話題になった映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)の続編にあたる作品なんです。ヴァンパイアに興味がなくてもブラピが主演という時点でじゅうぶんみる価値アリです!!
まだみたことがないという方はぜひ。
気になった方にはリンクを貼っておくのでチェックしてみてくださいね。
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いかがだったでしょうか。今回の記事が読者の皆様の参考になれば幸いです。
それでは、また!
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