映画『わたしはロランス』ネタバレ・考察【トランスジェンダーを抱える恋人との愛と苦悩の10年間を辿る!】
こんにちは!
今回ご紹介するのは、2013年公開の映画『わたしはロランス』(原題:Laurence Anyways)です。本作はカナダ出身の若き天才グザヴィエ・ドランが監督・脚本を手掛けたフランス合作のトランスジェンダーをテーマとした作品です。
作品情報
監督:グザヴィエ・ドラン
キャスト:メルヴィル・プポー、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ ほか
受賞歴:第65回カンヌ国際映画祭/ある視点部門出品・女優賞受賞
映画『わたしはロランス』ネタバレあらすじ
続いて、既に映画をご覧になった方にあらすじ(ネタバレあり)のご紹介です。
ロランス・アリア(メルヴィル・プポー)は学校で国語の教師をしながら、同棲する恋人のフレッド・べレール(スザンヌ・クレマン)と幸せな毎日を送るごく普通の中年男性。
35歳の誕生日にはフレッドからサプライズとして海外旅行を提案されますが、浮かない顔をするロランス。彼はフレッド自身がトランスジェンダーであることを伝えます。
ロランスからの突然のカミングアウトに対し、フレッドは猛反発します。それからしばらく二人は距離を置きますが、互いの存在の尊さに気づき、再びよりを戻します。そして、フレッドはありのままのロランスを受け入れようと決意します。
化粧の仕方を教えたり、外出時に女性の格好を薦めたり、ウィッグをプレゼントしたり、、、
前向きに彼を支えようとします。フレッドの力強い支えもあり、ロランスは自身の母親にトランスジェンダーであることを告白します。そして、女性の格好で学校にも出勤するようになります。
しかし、保護者からのクレームをうけて教師をクビになってしまいます。
そのころからフレッドとの関係もぎこちなくなり、フレッドは病院でうつ病と診断され、精神的に追い詰められていきます。普通とは違うロランスとの生活に耐えきれなくなったフレッドは、とうとう離別する選択をし、二人は別れてしまいます。
それから5年後、二人はそれぞれにパートナーを見つけ、新しい暮らしを手に入れます。フレッドは、富豪と結婚し、子供をもうけ、何不自由ない暮らしを送ります。
一方ロランスは、トランスジェンダーである彼を理解してくれるシャルロットという女性と出会い、自由気ままに好きな仕事をして過ごします。
しかし、ロランスは別れた恋人フレッドのことをずっと想い続けていたのです。
気持ちが抑えきれなくなったロランスは、意を決してフレッドへの想いを綴った詩集を彼女に送ります。詩集のメッセージを受け取ったフレッドからの連絡を機に二人は久々の再開を果たすことになります。
かつての懐かしい記憶が蘇り、二人は互いのパートナーのことも忘れ、愛し合います。そして、ケベック州の小島“イル・オ・ノワール”へ駆け落ちします。
しかし、些細なことで口論となり、フレッドは5年前にロランスの子を中絶したと打ち明けます。身籠っていたことも初めて知ったロランスは動揺し、フレッドの前から姿を消します。
それから数年後、二人はカフェバーで再開します。
フレッドは夫と離婚し、ロランスもパートナーと別れ、それぞれが仕事で成功を収めていました。しかし、会話が噛み合わず微妙な雰囲気になってしまいます。
フレッドは化粧を直しに行くと言ってお手洗いに向かいますが、裏口から立ち去ります。ロランスもお手洗いから彼女が戻るのを待たずにお会計を済ませ、入り口へ向かいます。
二人がはじめて出会った時のことを思い出しながら、ロランスはお店を後にします。
【考察】愛する人からカミングアウトされたら?
恋人や家族など、身近な人からLGBTであることをカミングアウトされたら、自分ならどうするか?を真剣に考えてみました。
世界的にLGBTへの理解は進んできていますし、同性同士で結婚ができる時代になりました。
最近では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー以外にも、
男女の生理学的性質を両方とも有するインターセックス(I)や、無性愛のアセクシュアル(A)、自己の性的指向が定まっていないクエスチョニング(Q)など、
性の概念は幅広く、一般的にはあまり浸透していない性的指向がさまざま存在します。
こうして考えてみると、性ってひとくくりでは説明できないですよね。
トランスジェンダーの中でも、FTM、MTF、FTX、MTXというように細かく分類されます。
まだ認識されていないだけで他にも分類があるかもしれません。
単語だけで性を完全に理解することはできないということですね。
LGBTという言葉が誕生したことで性の多様化が認められやすくはなりましたが、これからは、ますます性的指向を個人の個性として捉える時代になっていくと思います。
ロランスとフレッドは、互いを尊敬しあい、フレッドに関しては一旦相手の価値観を受け入れたうえで、最終的に決別という選択をしていました。
したがって、別れた原因は単純にロランスがトランスジェンダーだったからという理由だけではないのでは?と思います。
冒頭の考察の答えですが、人間性や価値観の部分が一致した相手ならば、どんなカミングアウトを受けたとしても、性別を超えて愛することはできるというのが筆者の考えです。
読者のみなさまは、どんな意見をもちましたか?
まとめ
というわけで、今回は映画『わたしはロランス』のご紹介でした!
最終的に別れを選んだ二人でしたが、ラストがどんな結末でも、ロランスの生き方かっこいい!ってなりました。
30代なんて仕事もプライベートもこれからという時期なのに、カミングアウトできる勇気がまずすごいと思いました。
しかも恋人と親に。友人や、職場の人に伝えるよりももっとハードル高いことなのでは…
やはりグザヴィエ・ドラン監督の作品は撮影のテクニックもさることながら、音楽のセンスも最高です!
二人でイル・オ・ノワールへ逃避行するシーンは震えるほど感動しました。
2000年代に入ってこんなにエモい映画なかなかないなと。
いや、私の観る映画が偏っているからなのかもしれませんが、グザヴィエ・ドラン監督作品は全部胸をぎゅっとつかまれる感じがします。
『マイ・マザー』や『Mommy』などもいつかレビューできたらなと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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