都会人が憧れる田舎の魅力を凝縮!?『リトル・フォレスト夏/秋』ネタバレなし感想
どうも、最近pcが故障して2週間ブログ更新がストップしていたfukubroです。
今回は2014年公開の映画『リトル・フォレスト夏/秋』のネタバレなしの感想について書いていきたいと思います。
本作の監督・脚本を手掛けたのは『重力ピエロ』で知られる森淳一監督。映像の映し出し方が秀逸で、一つひとつのシーンが切り取られた絵のように美しいです。
映画の9割が橋本愛の顔のクローズアップ!!不思議な中毒性があり、定期的にみたくなってしまいます。
のんびり魅力的な田舎暮らしの生活風景と過酷な農作業。
都会人にとっては刺激的な非日常感を楽しめる作品かもしれませんね!
この映画、いちいちおいしそうな料理が出てきてよだれ出ちゃうんですよね~。獲物でもとってこようかな。
( ゚Д゚)おにぎり作ってきましょうか…。
さあてと、今夜は・・(^-^)
ヒいぃぃぃーーーー‼‼(゚д゚)い、命だけはあああああああ
映画『リトル・フォレスト夏/秋』見どころ・ポイント
・登場人物少なめのドキュメンタリーやドラマが好き
・料理をやるのも見るのも好き
・田舎暮らしに興味がある
映画『リトル・フォレスト夏/秋』あらすじ(ネタバレなし)
映画『リトル・フォレスト 夏編・秋編』予告編 シネマトゥデイ公式
映画の主な登場人物は、主人公のいち子、いち子の親友・キッコと後輩・ユウタ、いち子の母・福子。
それ以外は、村のおばあちゃんたちが場面の繋ぎでたまーに出演するくらいです。登場人物少なめの映画。
物語の舞台は自然に囲まれた東北の小さな集落「小森」。
いち子と村に住む人々とのたわいもないやりとりが微笑ましい。
季節2つ分をとおして旬の野菜とうつろいゆく情景とともに描かれていきます。
特に大きな変化などはなく、たんたんと話が進んでいきます。延々といち子が野菜の収穫と小洒落た古民家キッチンで新鮮な食材を調理して食べるループ。
一見退屈そうに感じますが、
映像技術とベテラン俳優さんたちの演技がとても素晴らしく、最後まで飽きさせない仕掛けが満載でした。(小森の大自然に癒されました)
出てくる食材や料理名などは、都会に住んでいる人に馴染みのないものがほとんど。
なので、いち子の作る料理がいちいち魅力的で贅沢に感じてしまいます。
(田舎に住む方にとってはごく普通のありふれた食材だと思います…)
なにより、いち子役をつとめた橋本愛の飾らない自然体な演技がスパイスとしてプラスされていて見ごたえバッチリでした。
映画『リトル・フォレスト夏/秋』監督・キャスト
煩わしい人間関係から解放!大自然を目で見て癒されよう
ここからは、映画をみた感想について書いていきます。
この映画、主役級のキャストを揃えている割に橋本愛演じるいち子以外の登場人物は出番かなり少なめです。
設定はありがちな都会の生活に疲れて田舎に出戻る系のお話。
作中では、いち子が高校を卒業したあと地元を出て都会で元カレと同棲していたことが明らかになっています。
ですがそれ以外の細かな設定などは一切なく、あとはただひたすらいち子が田舎生活で自分の人生と向き合いながら田舎ならではの食材を使って料理をつくっていくだけ。
小難しい設定もないので、気軽にみれる作品です。
そこで「ストーリー性がない映画って面白いの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。ですが安心してください。
開始15秒で心地いいモノローグに引き込まれること間違いなし!
だからといってただキレイなだけの退屈な映画なのかと言うと、決してそんなことはありません。
本作は映像を目で見て楽しむ、食材をカットした音を聞いて耳で楽しむということにこだわり抜いた作品。
とはいえ、言葉数少なめでも伝わるメッセージが随所に散りばめられています。
例えば、
作中でユウタがぽつんと発したこのセリフが心にグサッと刺さりました。
「人に殺させておいて殺し方に文句をつけるような人生は送りたくない」
引用:映画『リトル・フォレスト夏/秋』
これはユウタが都会から出戻った理由をいち子に語っているときに何気なく発した言葉です。
ほんの数秒の短いフレーズですが、ずっと心に残る響きがありますよね?
それは、ユウタ自身が都会で生活していたときにきっと「言い知れぬ窮屈さ」を感じていたからなのでしょう。
しかし、地元・小森では自給自足の生活に満足しているようにも見えます。
ユウタは地元へ戻ってきたことで「言い知れぬ窮屈さ」から解放され、精神的な自由を手に入れることができたのです。
田舎はほしいものがすぐに手に入る都会に比べて少しの調味料を買い足すのにも遠出しなくてはいけない。ですが、それがあたりまえのことであるようにいち子は来る日も来る日も同じ生活をただ繰り返していきます。
今日も明日もその未来もずっと変わらず…。
都会では人間関係に失敗をしてきたいち子ですが、食べ物とは真剣に向き合おうと奮闘しているところが彼女なりの人生の向き合い方のように思えます。
映画に登場する料理がどれもおいしそう!一度は食べてみたい田舎グルメ5選
本作の見どころに橋本愛演じるいち子の調理シーンは欠かせません。
田舎なので、食材は基本畑で育った野菜やその辺の野草を使っています。
いわば完全自給自足の生活!!
(調味料は自転車で遠くのスーパーまで買い出しに行っています)
その中でも特においしそうな食材を使った料理を簡単にご紹介!
・自家製ストーブパン
(※写真はイメージです)
地粉を使ってストーブの余熱で焼いた自家製パン。それを自家製のジャムとあわせていただくシーンがたまらなく贅沢に感じました。
・米サワー
(※写真はイメージです)
おかゆに麹を入れて常温で発行させた飲み物。農作業後にキンキンに冷えたのを飲むのがいいんだとか。
・母特製ヌテラもどき
(※写真はイメージです)
ヘーゼルナッツをベースに砂糖、ココアパウダーを混ぜ合わせ、ココナッツオイルで仕上げたチョコレート風味のスプレッド。パンやクッキー、クラッカーとともに召し上がれ。
・食欲みなぎるミズとろろ
(写真:ミズ)
ミズの根っこを包丁で叩いて粘りけをだしたもの。味噌や三杯酢と合わせてご飯のおともの完成!
・超簡単!イワナのみそ汁
(写真:ニッコウイワナ)
ぶつ切りにしたイワナを水と一緒に鍋で沸かして最後に味噌をとかしていただく。シンプルな味付けだが、これが〆にもってこいの一杯…。
あぁ!!いつか食べてみたいなぁ。
ってfukubroさん食べたことなかったんですか?!( ゚Д゚)
うん、全部食べたことないよ~~。
だったら食リポみたいに書くのやめてくださいよ(T_T)みんな誤解するでしょ!!
おわりに
というわけで今回は映画『リトル・フォレスト夏/秋』のネタバレなしの感想についてご紹介させていただきました。
原作は2002年から2005年まで連載していた五十嵐大介さんの漫画『リトル・フォレスト』です。
これが韓国でもヒットし、2019年には『リトル・フォレスト春夏秋冬』という題で映画化もされました!!
日本では本作の続編として『リトル・フォレスト冬/春』が2015年に公開されていますね。
『リトル・フォレスト夏/秋』が気に入った!という方はぜひこちらもあわせてチェックしてみてください!
今回も最後まで御覧いただきありがとうございます。
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映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』感想・考察【一匹の迷い猫が薬物中毒の青年を救ったイギリス感動の実話】
どうもこんにちは、fukubroです。
今回は2017年公開のイギリス映画『ボブという名の猫』(原題:A Street Cat Named Bob)の感想・考察について書いていきたいと思います。
原作は映画に登場する主人公の青年・ジェームズが自身の体験談を綴った書籍『ボブという名のストリート・キャット』。
イギリスで大ヒットを記録しシリーズ化!!実話の物語として話題に―。
生きる希望を失いかけたストリートミュージシャンのジェームズの前にある日突然現れた一匹の迷い猫「ボブ」。
不思議な「ボブ」の存在がジェームズの人生に奇跡をもたらしてくれます。
- 映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』見どころ・ポイント
- 映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』作品情報
- 映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』ストーリー
- イギリスの格差・貧困社会の根深い闇が露呈
- 映画でボブが演奏していた歌や使われたサントラは?
- ジェームズと愛猫「ボブ」の現在とは?
- おわりに
映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』見どころ・ポイント
・明日を生きる元気・勇気が湧いてくる
・ジェームズの前向きな生き方に共感できる!
・迷い猫・ボブのクールな演技に癒される(本猫出演)
・猫好きな方必見
・映画で感動の涙を流したい方
・ノンフィクション・実話系が好きな方
映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』作品情報
はじめに、映画の主な作品情報のご紹介です。
監督:ロジャー・スポティスウッド
脚本:ティム・ジョン
マリア・ネイション
キャスト:ルーク・トレッダウェイ
ルタ・ゲドミンタス
ジョアンヌ・フロガット
キャロライン・グッドオール
ベス・ゴダード
原作:ジェームズ・ボーエン
上映時間:103分
映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』ストーリー
出典:YouTubeムービー
続いて、映画の簡単なあらすじのご紹介です。(ネタバレなし)
路上ライブでその日暮らしをするストリートミュージシャンのジェームズ。
プロのミュージシャンになるという夢を追いかけ、歌で食いつなぐ日々。しかし、薬物中毒によって何度も挫折を繰り返し、遂には路上生活者へと転落してしまいます。
ジェームズは薬への依存を絶つためにドラッグ仲間と縁を切り、更生プログラムにも参加。彼のけんめいな姿に可能性を感じたケースワーカーが特別に部屋を用意してくれることに。
人生をイチからやり直す決意をしたジェームズですが…路上ライブの稼ぎだけでは足りず、食事にすら事を欠く有り様。
しかしそれでも腐らずに前を向き続ける彼にようやく転機が訪れます。
野良猫「ボブ」が家に迷い込んだことをきっかけに隣人の女性・ベティと親しくなっていきます。
それはジェームズのどん底人生を変える“奇跡の出会い”だったのです。
あの有名な映画『英国王のスピーチ』のポール・ブレット、ティム・スミスなどの制作陣が多数名を連ねています。
さらに、本作に登場する野良猫「ボブ」役には本物の猫ボブがほとんど出演しているそうです。ボブがみせるプロ顔負けの演技にも注目です!!
イギリスの格差・貧困社会の根深い闇が露呈
ヨーロッパでも最大の紅茶消費国で知られるイギリス。
イギリス人の習慣「アフタヌーンティー」は日本でも馴染みのことばですね。午後のひとときに優雅に紅茶をすすりながら甘いお菓子を頬張る姿が目に浮かびます。
しかし、イギリスは先進国の中でも貧困が進む格差社会でもあります。
イギリスの国内総生産(GDP)は世界5位と経済的には裕福にみえる一方で、お金持ちの家庭とそうでない家庭の経済格差が広がっていることが問題視されています。
日本でも若者の貧困がテレビやニュースなどで話題になっていますが、イギリスでも格差・貧困問題がたびたび取り上げられています。
ある記事では、イギリスに住む子どもの3人に1人は貧困というデータも出ています。
この数字をみてからだと「紅茶で優雅なひとときを…」というのは一部のお金持ちだけなのだと思いました。(;_;)
1996年制作のイギリス映画『トレインスポッティング』でも、スコットランドを舞台に薬物(ヘロイン)中毒の若者たちのリアルな日常が描かれています。公開当時、多くの若者から共感を集め、世界中で注目された作品です。
イギリス映画に薬物中毒者が多いのは、
若者の貧困化や薬物中毒者の増加の背景に、イギリスの経済体制が深くかかわっているからなんでしょうね…。
日本に住んでいる私たちからすると薬物中毒の若者たちが集って薬物に溺れる場面は異世界の話のように感じてしまうかもしれません。
それもそのはず、私たちは学校教育で
“薬物=ダメ、絶対!”
というイメージを植え付けられているため普通なら手を出そうとは思わないからです。
ですがイギリスでは薬物自体は禁止とされているものの、取り締まりは日本ほど厳しいものではありません。
しかも、シェアハウスで共同生活を送る人たちが日本に比べて圧倒的に多いため集団でドラッグにハマりやすい傾向があるようです。
ただ一概にそれだけが理由とも言えません。
格差・貧困からくる精神的なストレスやアルコール依存の延長線で薬物に手を出してしまうというケースもあり得ますね。
意外にも驚かれるかもしれませんが、イギリスでは若者のホームレスが多いのも事実。
日本でも地域によって差はありますが、一日中町を歩いてもめったにホームレスに遭遇することはないと思います。世界的に見ても日本のホームレスの数って少ないほうかな?と思います。それに比べてイギリスは高齢者だけでなく、20代~30代の若い人たちが目立って多いそうです。
この映画でも、主人公のジェームズは路上生活しながらストリートミュージシャンをして日銭を稼ぐ光景が映し出されていますね。それに対して通り過ぎる人たちは冷たい目線を向けるだけ。この光景をみて「かわいそう」と思うのは日本人にとって遠い生活だからなのかなと思ったり…。
【参考にしたサイト】
映画でボブが演奏していた歌や使われたサントラは?
映画では、ジェームズ役のルーク・トレッダウェイが路上ライブでギターを持ちながら曲を歌いあげるシーンがたびたび映し出されます。
このルークの美声にうっとり聴き入ってしまった人も多いのではないでしょうか。
「猫に癒されたい」と思って観たはずなのにいつの間にかヘロイン中毒の青年・ジェームズに感情移入して応援までしてしまうとはと思ったのは私だけではないはず。
それにしても、アーテイストさながらの歌唱力と歌詞のクオリティには驚きました。
調べてみたところ、
UKバンド『ノア・アンド・ザ・ホーエル』の元フロントマン/チャーリー・フィンクのオリジナルソングとオーストラリア出身デヴィッド・ハーシュフェルダーのスコアを収録したものであると分かりました。
【作品詳細はこちら】↓↓↓
【映画のDVDはこちら】↓↓↓
気になる方はぜひサントラ情報もチェックしてみてくださいね!!
ジェームズと愛猫「ボブ」の現在とは?
なんとご本人のTwitterを見つけることができました!
Leeds, here we come. James and Bob are heading to Yorkshire for a rare public appearance on the last weekend of the month. More details here: https://t.co/NBevfai47t pic.twitter.com/NKpQgu5lKY
— StreetCat Bob (@StreetCatBob) 2019年8月20日
ジェームズに寄り添ってボブも幸せそうです。
Twitterでの最後の写真投稿は2019年8月ですね。
今でも時おり更新していて、ボブも高齢猫のため定期健診には出かけているようですが写真を見るかぎり元気そうでひとまず安心しました!
これからも元気な姿をたくさん見せてもらいたいですね!!
おわりに
というわけで今回は映画『ボブという名の猫/幸せのハイタッチ』の感想・考察を書いていきました。
本作はイギリスで2016年に公開されています。そして、翌年2017年春には「ナショナル・フィルム・アワードUK」でベスト・ブリティッシュフィルムに選ばれました!
作者であるジェームズがこの映画に込めたメッセージ。
「誰でもセカンドチャンスを手にする価値がある」
愛猫ボブとの運命の出会いを果たし、人生をどん底からやり直したジェームズだからいえる言葉ですね。感慨深いです。
「猫が出演している映画だから」という理由で映画に興味が湧くかたが多いかと思います。かわいい猫ちゃんに癒されよう!と思って観ると、序盤からハードな内容に意表を突かれますのでご注意を。
それでもラストはノンフィクションであってよかったと感動できる終わり方で安心しました。映画を観てひさびさに泣きました。
そして、ちゃんとイギリスらしいコミカルなシーンもたくさんあってあっという間の103分でした!!
映画ではボブがジェームズにとっての「命の恩人」「希望」的な描かれ方になっていますが、ジェームズに奇跡が訪れたのは、彼の普段の行いが良かったからと考えています。
どんなに理不尽な仕打ちをされても、いつも前向きなジェームズに励まされました。
人間の底力ってすごい!そして、猫好きに悪い人はいない!!
と思える作品でした^^
最後までご覧いただきありがとうございます。
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映画『トゥルーマン・ショー』感想・考察【誰にでも起こり得る洗脳の罠にハマった男の末路】
どうもこんにちは、fukubroです。
今回は1998年公開の映画『トゥルーマン・ショー』(原題:The Truman Show)の感想・考察について書いていきます。
映画『マスク』シリーズや『ライアーライアー』などコメディ映画でお馴染みジム・キャリーの主演作。今作でも安定感あるパワフルな演技で笑いと元気を届けてくれること間違いなし!
映画『トゥルーマン・ショー』見どころ・ポイント
・アメリカコメディ映画の王道といったらコレ!
・自分の常識で観ると騙されます
・ラストは安定のジム・キャリー節炸裂!
映画『トゥルーマン・ショー』作品情報
映画の主な作品情報はこちらです。
映画『トゥルーマン・ショー』ストーリー
続いて映画の簡単なあらすじのご紹介です。
出典:YouTubeムービー
ある男性の30年間の私生活がアメリカのリアリティー番組によって24時間生放送されていたという衝撃作。
アメリカにある小さな離れ島・シーヘブンで平穏な毎日を送る主人公のトゥルーマン。
日中は保険会社のやり手セールスマンとして働き、妻は美人看護師というハイスペックな夫婦。休日には妻のために庭の手入れをし、幼馴染と酒を飲みながら語らう充実した日々を過ごしていきます。
ところが些細なことから彼は今まで何気なく過ごしていた生活に違和感をおぼえ、やがて誰かに監視されていると感じるようになります。
そして、彼はそれまでのありふれた日常を捨て、人生をやり直すために島から出ることを決意します。
コメディ界の帝王と称されるジム・キャリーの体当たり演技に注目です!
完璧な人生など存在しない
この映画をみて思ったことは、
「すべてを手に入れられる都合の良い人生はない」
ということ。
トゥルーマンでいえば彼は一流保険セールスマンという設定で、さらに美人な看護師の妻をもつ比較的恵まれた身分といえます。
しかし、実際には彼の私生活は生まれたときから30年間監視され続け、彼のプライバシーは視聴者に晒され続けていたというのが事実でした。彼はその事実を知った瞬間自分の人生に落胆します。
このことを自分に置き換えて考えると、どれほど恐ろしいかよく分かります。
生きていくのに十分なお金があり、近所でも自慢の奥さんがいたとします。しかし、ある日突然あなたの人生そのものが偽りですべて台本通りだったと知ったらそれまでと同じように暮らしていくことができるでしょうか。
人はプライバシーや自由が侵されるとストレスに感じるようになり、それまでと同じ暮らしを送ることが難しくなっていきます。
この映画をみて、どんな立場の人でも生きるために大なり小なり犠牲を払っていることに改めて気づかされました。
うまい話にはじゅうぶん注意が必要ですね(+_+)
「当たり前」のもつ怖さ
この映画ではもう一つ大事なことに気づかされました。
それは、
「自分の人生が操られていることに何の疑問も抱かずに過ごすことの愚かさ」です。
私たちが暮らす日本では、相手を思いやる気持ちやおもてなし精神を大切にする文化が存在します。
「日本人ならば礼節を尽くすのは当たり前」と思う方も多いかもしれません。
ただそれは日本のなかの話。
外国では真逆の個人の個性や特性を生かし、積極的に自分の意見を発信することを重んじています。そのため、外国からみた我々日本人というのは、控えめで自分の意見を言えない消極的な性格の人々として映るでしょう。あるいは、言論の自由が制限されていて堅苦しいと思われるかもしれません。
しかし、われわれにとってはそうした生活が当たり前のものとして染みついているのです。
国によって常識・文化・習慣は異なります。
生活する環境が違えばその分だけ価値観や考え方も様々です。
私たちは「生まれ育った環境や場所の常識にとらわれて生きる存在」なのです。国の中でもさらに細分化すれば、家庭ごと学校や地域ごとによっても価値観・考え方は異なるでしょう。
さらに習慣というのは恐ろしいもので、私たちの潜在意識のうちに自分の行動をコントロールしている場合があるのです。
この映画は、90年代に世界的にヒットした「リアリティーショー文化」「見世物文化」を題材に作られています。エンターテイメントに対する痛烈な皮肉を込めて作られた映画としてもファンのあいだで有名です。
今でもテレビ番組などでタレント・芸能人の部屋をのぞき見する企画が放送されたりしていますね。
映画『トゥルーマン・ショー』の世界では、視聴者たちが一人の男性の私生活に興味をもっていて、ほとんどの人がそれを当たり前に感じて観ているという不気味な感じがあります。トゥルーマンのプライバシー保護を真剣に考える人はいません。
明かに法に触れる行為であるにもかかわらず誰もそれを指摘しようとしないことに違和感をおぼえました。でもそれはその世界では「常識」であり「当たり前」のこととして共通認識されているんですよね。
文筆家のユリウス・カエサルがのこした言葉で有名な一文があります。
「人間はみな 自分の見たいものしか見ようとしない」
彼は多くの人々が自分の信じたいものしか信じない特性をもつことをこの一言であらわしました。
私はこの言葉をうけて、
「本当にこれは正しいことなのか?」と常に自問自答を繰り返すことが物事の本質を見抜く鍵であると感じました。
また、偉人が新たな発見を生み出すことができたのはこの自問自答を繰り返した結果なのだと理解することができますよね。
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おわりに
というわけで今回は映画『トゥルーマン・ショー』の感想・考察を書いていきました。
この映画で特に素晴らしかったのは、トゥルーマンのラストのセリフ。
このセリフには映画がはじめから最後まで一貫して伝えたかったことが込められていると感じました。じつに秀逸に作られた作品です。感動しました。
その後どうなったか想像を掻き立てるラストと、視聴者にわずかな希望を与えてくれる描写は圧巻でした。
トゥルーマンのように常識をいったん疑問視する姿勢は大事だなと思いました。
いつも平和な生活が送れることを当たり前に思ってはいけないのかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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